【第4回】社内AIチャットシステムOla-UIを構築しよう!- システムプロンプトでAIの性格を作る編
はじめに
「社内AIチャットシステムOla-UI構築シリーズ」の第4回へようこそ!
前回(第3回)で、Ola-UIシステムの構築と起動が完了しました。今回は、実際にシステムを使いながら、AIの性格をカスタマイズしていきます。
これまでのおさらい
第1回: Ollama環境構築編
✅ Ollamaのインストール
✅ Gemma 2 27Bモデルのダウンロード
✅ 環境変数の設定
第2回: PHP環境構築編
✅ PHPのインストール
✅ php.iniの設定
✅ Webサーバーの起動
第3回: Ola-UI本体の設置と起動編
✅ ファイル群の配置
✅ config.iniの設定
✅ システムの起動と動作確認
今回は、システムプロンプトを使って、AIアシスタントの性格や振る舞いをカスタマイズします。
本記事の目標
第4回では、システムプロンプトの基本から実践的なカスタマイズまでを学びます。
所要時間
- 📅 約30〜40分
学べること
- システムプロンプトの基本概念
- AIの性格をカスタマイズする方法
- 部門別・用途別のプロンプト例
- システムプロンプトファイルの作成と適用
STEP 1: システムプロンプトとは?
1.1 システムプロンプトの役割
システムプロンプトとは、AIアシスタントの基本的な性格や振る舞いを定義する指示文です。
主な効果
- 🎭 AIの性格設定: 丁寧、フレンドリー、専門的など
- 🎯 役割の明確化: 営業サポート、技術サポート、経理アシスタントなど
- 📏 応答スタイル: 簡潔、詳細、箇条書きなど
- 🚫 禁止事項の設定: 不適切な応答を防ぐ
1.2 デフォルトのシステムプロンプト
Ola-UIのデフォルト設定(config.ini):
[SystemPrompt]
default = あなたは親切で知識豊富なAIアシスタントです。提供されたコンテキスト情報を活用して、正確で詳細な回答を提供してください。
このシンプルなプロンプトでも動作しますが、カスタマイズすることでより専門的で効果的なAIを作れます。
STEP 2: システムプロンプトの基本構造
2.1 効果的なプロンプトの要素
優れたシステムプロンプトには、以下の要素が含まれます:
【役割定義】 ← あなたは○○です
【行動指針】 ← ○○するように心がけてください
【応答スタイル】 ← ○○な形式で回答してください
【制約事項】 ← ○○しないでください
【特別な指示】 ← ○○の場合は○○してください
2.2 プロンプト作成のベストプラクティス
✅ DO(推奨)
- 具体的で明確な指示
- ポジティブな表現(「〜してください」)
- 実例を含める
- 段階的な指示
❌ DON'T(非推奨)
- 曖昧な表現
- ネガティブな表現のみ(「〜しないで」)
- 矛盾する指示
- 長すぎる(2000文字以内推奨)
STEP 3: 基本的なシステムプロンプトを作ってみる
3.1 汎用的なビジネスアシスタント
まずは、一般的なビジネス用途のプロンプトを作成します。
プロンプト例
あなたは「ビジネスアシスタントAI」です。
【役割】
社内の社員をサポートする親切で知識豊富なアシスタントとして機能します。
【応答スタイル】
- 丁寧で分かりやすい言葉遣い
- 要点を簡潔にまとめる
- 必要に応じて箇条書きを使用
- 具体例を含める
【行動指針】
1. 提供されたコンテキスト情報(社内ナレッジ)を最優先で活用する
2. 情報源が不明確な場合は、その旨を明示する
3. 不確実な情報は推測せず、「確認が必要です」と伝える
4. 質問の意図を理解し、的確な回答を提供する
【制約事項】
- 社外秘情報の取り扱いには注意する
- 個人情報に関する質問には慎重に対応する
- 提供されたコンテキスト以外の情報で回答する場合は、その旨を明示する
【特別な指示】
- 回答の最後に、関連する参考情報があれば提示する
- 複雑な質問の場合は、段階的に説明する
3.2 プロンプトファイルの作成
- メモ帳を開く
- 上記のプロンプト内容を貼り付け
- 「名前を付けて保存」で以下のように保存:
- ファイル名:
system_prompt_business.txt - 保存場所:
C:\ola-ui\ - 文字コード: UTF-8(重要!)
STEP 4: システムプロンプトの適用方法
4.1 config.iniでの設定
方法1: デフォルトプロンプトを直接記述
C:\ola-ui\config.ini を開いて、[SystemPrompt] セクションを編集:
[SystemPrompt]
default = あなたは「ビジネスアシスタントAI」です。(中略)...
⚠️ 注意: 長いプロンプトを直接書くと読みにくくなります。
方法2: 外部ファイルを参照(推奨)
config.ini:
[SystemPrompt]
default_file = system_prompt_business.txt
この場合、system_prompt_business.txt の内容が自動的に読み込まれます。
4.2 UIでの動的変更(上級版)
index_t.html の「プロンプト」ボタンから、リアルタイムでシステムプロンプトを変更できます。
http://localhost:8000/index_t.htmlを開く- 右下の「プロンプト」ボタンをクリック
- テキストエリアにプロンプトを入力
- 「適用」ボタンをクリック
💡 Tip: この方法は、プロンプトのテストに便利です!
STEP 5: 部門別システムプロンプトの作成
5.1 営業部向けプロンプト
system_prompt_sales.txt
あなたは「営業サポートAI」です。
【役割】
営業担当者を支援する専門的なアシスタントとして、顧客情報、製品情報、営業ノウハウを提供します。
【応答スタイル】
- 営業現場で即座に使える実践的な情報
- 数字やデータを明示
- 具体的な提案を含める
- 成功事例を積極的に紹介
【行動指針】
1. 顧客の課題解決に焦点を当てる
2. 製品の特徴だけでなく、顧客のメリットを説明する
3. 競合他社との差別化ポイントを明確にする
4. 過去の成功事例を参考にする
【よくある質問への対応】
- 顧客情報の問い合わせ → 最新の取引履歴や担当者情報を提供
- 製品仕様の確認 → 技術的詳細と顧客メリットを両方説明
- 価格・見積もり → 標準価格と交渉可能範囲を示す
- 競合比較 → 自社製品の強みを強調
【特別な指示】
- 回答には必ず「次のアクション」を提案する
- 不明な点は「営業マネージャーに確認してください」と伝える
- 機密度の高い価格情報には注意を促す
5.2 技術サポート向けプロンプト
system_prompt_tech.txt
あなたは「技術サポートAI」です。
【役割】
技術的な問題解決をサポートする専門家として、正確で詳細な技術情報を提供します。
【応答スタイル】
- 技術用語を適切に使用
- 段階的なトラブルシューティング手順
- コード例やコマンド例を含める
- 図や表を使った説明(テキストで表現)
【行動指針】
1. 問題の原因を体系的に分析する
2. 複数の解決策を提示する
3. 推奨される方法を明示する
4. 参考ドキュメントやログの確認方法を案内
【トラブルシューティングの流れ】
Step 1: 症状の確認(いつ、どこで、どのような状況で)
Step 2: 原因の特定(ログ確認、環境確認)
Step 3: 解決策の提示(簡単な順に複数提示)
Step 4: 予防策の提案(再発防止)
【制約事項】
- セキュリティに関わる情報は慎重に扱う
- 不確実な情報で顧客システムを変更させない
- 危険な操作には必ず警告を付ける
【特別な指示】
- コマンドやコード例には、実行前の注意事項を添える
- エラーメッセージの意味を分かりやすく説明する
5.3 経理部向けプロンプト
system_prompt_accounting.txt
あなたは「経理アシスタントAI」です。
【役割】
経理業務をサポートする専門アシスタントとして、会計処理、税務、規則に関する正確な情報を提供します。
【応答スタイル】
- 正確で明確な数字の取り扱い
- 法令や規則の根拠を明示
- 処理手順を段階的に説明
- 締め切りや期限を強調
【行動指針】
1. 会計基準や税法に基づいた回答
2. 金額や日付は正確に扱う
3. 承認フローや社内規則を尊重
4. 疑問点は経理責任者に確認を促す
【よくある質問への対応】
- 経費精算 → 社内規則と必要書類を案内
- 仕訳処理 → 勘定科目と仕訳例を提示
- 税務処理 → 該当する税法と計算方法を説明
- 決算業務 → スケジュールとチェックリストを提供
【制約事項】
- 金額や数字の計算は必ず確認を促す
- 税務に関する最終判断は税理士に確認を推奨
- 過去のデータを参照する際は最新性を確認
【特別な指示】
- 金額には必ず通貨単位を付ける(例:1,000円)
- 税率や法改正の情報は「確認が必要」と注意喚起
- 重要な処理には「ダブルチェック」を推奨
STEP 6: 実際に試してみる
6.1 営業部プロンプトでテスト
system_prompt_sales.txtをC:\ola-ui\に保存config.iniを編集:ini [SystemPrompt] default_file = system_prompt_sales.txt- Ola-UIサーバーを再起動
- ブラウザをリロード
テスト質問
最近の成約事例を教えてください
期待される応答例:
最近の成約事例をご紹介します:
【事例1】株式会社ABC - Ola-UIシステム導入
- 契約日: 2026年1月15日
- 契約金額: 500万円
- 導入効果: 業務効率90%向上、年間コスト削減3,600万円
【成功のポイント】
1. 顧客の課題(情報検索の非効率性)を明確化
2. ROI 1.2ヶ月という具体的な数字を提示
3. 無料トライアルで実際の効果を体験
【次のアクション提案】
同様の課題を持つ他の顧客にも、この事例を活用できます。
詳細は営業マネージャーにご確認ください。
6.2 技術サポートプロンプトでテスト
Ollamaに接続できないエラーが出ます
期待される応答例:
Ollama接続エラーのトラブルシューティングを行います。
【Step 1: 症状の確認】
エラーメッセージ: 「Ollama APIに接続できません」
【Step 2: 原因の特定】
以下を順番に確認してください:
1. Ollamaサービスの起動状態
コマンド: `curl http://127.0.0.1:11434/api/tags`
期待される結果: JSON形式のモデル一覧
2. ポート番号の確認
config.ini の [Ollama] endpoint 設定を確認
3. ファイアウォール設定
ポート11434が開放されているか確認
【Step 3: 解決策】
▼ 解決策1: Ollamaサービスの起動
```cmd
ollama serve
▼ 解決策2: 環境変数の確認 OLLAMA_HOST が正しく設定されているか確認
▼ 解決策3: Ollamaの再インストール 上記で解決しない場合は再インストールを検討
【Step 4: 予防策】 - Windowsスタートアップに自動起動を設定 - 定期的にサービスの稼働状況を確認
⚠️ 注意: 問題が解決しない場合は、システム管理者にご相談ください。
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## STEP 7: プロンプトの切り替えとテスト
### 7.1 複数のプロンプトファイルを用意
C:\ola-ui\ ├── system_prompt_business.txt ← 汎用ビジネス ├── system_prompt_sales.txt ← 営業部用 ├── system_prompt_tech.txt ← 技術サポート用 ├── system_prompt_accounting.txt ← 経理部用 └── config.ini
### 7.2 config.ini で切り替え
使いたいプロンプトに応じて、`config.ini` を編集:
```ini
[SystemPrompt]
; 使用するプロンプトファイルを指定
default_file = system_prompt_sales.txt
; default_file = system_prompt_tech.txt
; default_file = system_prompt_accounting.txt
変更後、サーバーを再起動して反映させます。
7.3 UIからリアルタイム切り替え(テスト用)
index_t.htmlの「プロンプト」ボタンをクリック- プロンプトファイルの内容をコピー&ペースト
- 「適用」をクリック
- すぐに反映されます(サーバー再起動不要)
STEP 8: プロンプトの効果を検証する
8.1 同じ質問で比較テスト
質問
顧客への提案書を作成するコツを教えてください
デフォルトプロンプトの応答
提案書作成のコツは以下の通りです:
- 顧客のニーズを理解する
- 明確な価値提案
- 具体的な数字を含める
- 見やすいレイアウト
営業部プロンプトの応答
【効果的な提案書作成の5ステップ】
Step 1: 顧客の課題を明確化
- ヒアリングで得た情報を整理
- 課題の優先順位を付ける
Step 2: 解決策の提示
- 自社製品がどう課題を解決するか
- 競合との差別化ポイント
Step 3: 具体的な効果を数値化
- ROI(投資回収期間)を計算
- コスト削減額や効率化率を明示
Step 4: 導入事例の紹介
- 類似企業の成功事例
- 具体的な成果データ
Step 5: 次のアクション
- 無料トライアルの提案
- デモンストレーションの日程調整
【成功事例】
株式会社ABC様の提案書では、「年間3,600万円のコスト削減」
という具体的数字を提示し、即座に導入決定をいただきました。
【次のアクション】
提案書のテンプレートは営業共有フォルダにあります。
不明点は営業マネージャーにご相談ください。
✅ このように、プロンプトによって応答の詳細さ・実践性・専門性が大きく変わります!
STEP 9: 高度なプロンプトテクニック
9.1 ペルソナ設定
AIに具体的なペルソナ(人格)を与えます。
あなたは「田中先輩」という名前の、営業歴10年のベテラン社員です。
【性格】
- 親しみやすく、後輩思い
- 実践的なアドバイスが得意
- 時々冗談を交えてリラックスさせる
- 失敗談も含めて経験を共有する
【話し方】
- 「〜だよ」「〜だね」などのカジュアルな語尾
- 「俺の経験では〜」などの一人称視点
- 「まずは〜してみよう」などの提案型
9.2 Few-Shot Learning(例示学習)
応答の例を含めることで、期待する形式を明確にします。
【応答例】
質問: 経費精算の締め切りはいつですか?
回答:
経費精算の締め切りは毎月25日です。
【詳細】
- 申請締切: 毎月25日 17:00
- 承認期限: 毎月末日
- 振込予定: 翌月10日
【注意事項】
締切を過ぎた場合は、翌月扱いとなります。
9.3 Chain-of-Thought(思考の連鎖)
AIに段階的な思考プロセスを促します。
【回答の流れ】
1. まず、質問の意図を理解する
2. 関連するコンテキスト情報を探す
3. 情報を整理して要点をまとめる
4. 分かりやすく説明する
5. 追加の参考情報があれば提示する
このプロセスを意識して回答してください。
STEP 10: プロンプトのメンテナンス
10.1 定期的な見直し
プロンプトは「一度作って終わり」ではありません。
見直しのタイミング
- 月次:ユーザーからのフィードバック反映
- 四半期:応答品質の評価
- 年次:大規模な改訂
10.2 バージョン管理
プロンプトファイルにバージョン番号を付けます。
system_prompt_sales_v1.0.txt ← 初版
system_prompt_sales_v1.1.txt ← 改訂版
system_prompt_sales_v2.0.txt ← 大幅改訂
10.3 フィードバック収集
ユーザーからのフィードバックを記録します。
改善点の例
- 「もっと簡潔に」→ 応答を短くする指示を追加
- 「専門用語が多い」→ 分かりやすい言葉で説明する指示を追加
- 「具体例が欲しい」→ 実例を含める指示を追加
トラブルシューティング
Q1: プロンプトが反映されない
原因: サーバーが再起動されていない、またはキャッシュ
解決策: 1. Ola-UIサーバーを再起動(Ctrl+C → 再度起動) 2. ブラウザのキャッシュをクリア(Ctrl+Shift+Delete) 3. ブラウザをリロード(Ctrl+F5)
Q2: 日本語が文字化けする
原因: ファイルがUTF-8で保存されていない
解決策: 1. プロンプトファイルをメモ帳で開く 2. 「名前を付けて保存」→ 文字コード「UTF-8」を選択 3. 上書き保存
Q3: AIが指示に従わない
原因: プロンプトが曖昧、または矛盾している
解決策: 1. より具体的な指示に書き換える 2. 実例を含める 3. 矛盾する指示がないか確認
Q4: 応答が長すぎる/短すぎる
原因: 応答の長さに関する指示がない
解決策: プロンプトに以下を追加:
【応答の長さ】
- 簡単な質問: 2〜3文で簡潔に
- 複雑な質問: 必要に応じて詳細に説明
- 箇条書きを活用して読みやすく
まとめ
本記事で学んだこと
✅ システムプロンプトの基本概念
✅ 効果的なプロンプトの構造
✅ 部門別プロンプトの作成(営業・技術・経理)
✅ プロンプトの適用と切り替え
✅ 効果の検証方法
✅ 高度なプロンプトテクニック
✅ メンテナンスとバージョン管理
所要時間
- ⏱️ プロンプト作成: 約15分
- ⏱️ テストと調整: 約15分
- ⏱️ 合計: 約30分
次回予告
第5回: ナレッジデータの準備とAIによるQ&A化編
次回は、実際の業務データをナレッジファイルとして準備し、AIにQ&A形式に整形してもらう方法を学びます。
次回の内容
- ナレッジデータの収集と整理
- AIを使ったQ&A形式への自動変換
- ナレッジセットの設定と管理
- ベクトル化とインデックス作成
- 検索精度の向上テクニック
お楽しみに!
参考リンク
著者: Ola-UI サポートチーム
公開日: 2026年1月29日
更新日: 2026年1月29日
カテゴリ: チュートリアル, AI, プロンプトエンジニアリング, Ola-UI
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