第08回 ネット越しアクセス(3)レンタルサーバー経由編

Ola-UI構築チュートリアル

【第8回】社内AIチャットシステムOla-UIを構築しよう!- ネット越しアクセス(3)レンタルサーバー経由編

はじめに

「社内AIチャットシステムOla-UI構築シリーズ」の第8回へようこそ!

前回(第7回)では、自宅PCでHTTPS対応のWebサーバーを構築しました。しかし、常時稼働PCの管理や固定IP/DDNSの運用は負担が大きい場合があります。

今回は、レンタルサーバーにOla-UIを配置し、自宅PCのOllamaにセキュアにアクセスする方法を解説します。

これまでのおさらい

第6回: DDNS経由アクセス

✅ DDNSサービスの登録
✅ ポート転送設定
✅ 基本認証の設定

第7回: HTTPS対応

✅ Apache/Caddyのインストール
✅ Let's EncryptでSSL証明書取得
✅ HTTPS化

今回は、最も実用的で安定した構成を実現します。


本記事の目標

第8回では、レンタルサーバー(Ola-UI)と自宅PC(Ollama)を連携させる方法を解説します。

所要時間

学べること


この構成の特徴

システム構成図

【外部(インターネット)】
         ↓
  レンタルサーバー
  ┌─────────────┐
  │ PHP + Ola-UI   │ ← Webインターフェース
  │ (公開サーバー)  │
  └─────────────┘
         ↓
    SSHトンネル
  (暗号化通信)
         ↓
   【自宅/オフィス】
      Windows PC
    ┌──────────┐
    │  Ollama   │ ← AIエンジン
    └──────────┘

メリット

✅ 常時稼働PC不要: レンタルサーバーが24/365稼働
✅ 固定IP/DDNS不要: レンタルサーバーが固定IP
✅ 高速アクセス: サーバーの高速回線
✅ セキュア: SSH暗号化通信
✅ 管理が楽: ポート転送設定不要

デメリット

⚠️ レンタルサーバーの月額費用(月500〜3,000円)
⚠️ SSH接続の設定が必要


STEP 1: レンタルサーバーの選定

1.1 必要な要件

Ola-UIを動かすために必要な条件:

要件 最低 推奨
PHP 8.1以上 8.3以上
拡張モジュール curl, mbstring, openssl curl, mbstring, openssl, pdo_sqlite
SSH接続 必須 必須
ディスク容量 5GB 10GB以上
転送量 50GB/月 無制限

1.2 おすすめレンタルサーバー

エックスサーバー(推奨)

さくらのレンタルサーバ

ロリポップ!

💡 推奨: この記事ではエックスサーバーを使った手順を解説します。


STEP 2: レンタルサーバーの初期設定

2.1 サーバーの契約とドメイン設定

  1. エックスサーバーに登録
  2. プランを選択(スタンダード推奨)
  3. 独自ドメインを設定(例: ola-ui.com)
  4. SSL証明書を有効化(無料)

2.2 SSH接続情報の確認

サーバーパネルで以下を確認:

2.3 SSHキーペアの作成(Windows)

Windows 10/11の場合

ssh-keygen -t rsa -b 4096 -C "your-email@example.com"

対話形式:

Enter file in which to save the key: C:\Users\<ユーザー名>\.ssh\id_rsa_ola
Enter passphrase (empty for no passphrase): (パスフレーズ入力)
Enter same passphrase again: (再入力)

生成されるファイル: - id_rsa_ola: 秘密鍵(PCに保管) - id_rsa_ola.pub: 公開鍵(サーバーに登録)

2.4 公開鍵のサーバー登録

公開鍵の内容をコピー

type C:\Users\<ユーザー名>\.ssh\id_rsa_ola.pub

出力をコピー(ssh-rsa AAAA... で始まる長い文字列)

サーバーに登録

エックスサーバーの場合:

  1. サーバーパネルにログイン
  2. 「SSH設定」をクリック
  3. 「公開鍵登録・更新」タブ
  4. コピーした公開鍵を貼り付け
  5. 「確認画面へ進む」→「登録する」

SSH接続テスト

ssh -i C:\Users\<ユーザー名>\.ssh\id_rsa_ola -p 10022 your-server-id@your-server.xsrv.jp

✅ ログインできればOK!


STEP 3: Ola-UIのレンタルサーバー配置

3.1 ファイルのアップロード

方法1: SCP(推奨)

scp -i C:\Users\<ユーザー名>\.ssh\id_rsa_ola -P 10022 -r C:\ola-ui\* your-server-id@your-server.xsrv.jp:~/your-domain.com/public_html/

方法2: FTPクライアント

FileZillaなどのFTPクライアントを使用:

  1. FileZillaを起動
  2. SFTP接続を設定:
  3. ホスト: your-server.xsrv.jp
  4. ポート: 10022
  5. プロトコル: SFTP
  6. ユーザー名: サーバーID
  7. パスワード: パスワード
  8. ローカル C:\ola-ui\ の内容を public_html/ にアップロード

3.2 パーミッション設定

SSH経由でサーバーにログインし:

cd ~/your-domain.com/public_html/
chmod 755 .
chmod 644 *.php *.html *.ini
chmod 755 *.bat

3.3 config.iniの修正

サーバー上の config.ini を編集:

[Ollama]
; SSHトンネル経由でローカルOllamaにアクセス
endpoint = http://localhost:11434

; その他の設定は変更不要

STEP 4: SSHトンネルの設定(自宅PCからサーバーへ)

4.1 リバースSSHトンネルとは?

自宅PCからレンタルサーバーに逆方向のトンネルを作成し、サーバーから自宅PCのOllamaにアクセスできるようにします。

レンタルサーバー(公開)
         ↑
    SSHトンネル
    (自宅PC → サーバー)
         ↓
    自宅PC(Ollama)

4.2 自宅PCからのトンネル作成

Windows PCで以下のコマンドを実行:

ssh -i C:\Users\<ユーザー名>\.ssh\id_rsa_ola -p 10022 -N -R 11434:localhost:11434 your-server-id@your-server.xsrv.jp

オプションの説明: - -i: 秘密鍵ファイル - -p 10022: SSHポート - -N: コマンド実行なし(トンネルのみ) - -R 11434:localhost:11434: リバーストンネル - サーバーの11434ポート → 自宅PCの11434ポート

💡 このコマンドプロンプトは開いたままにします。

4.3 トンネルの動作確認

サーバー側で確認

SSH経由でサーバーにログインし:

curl http://localhost:11434/api/tags

期待される出力:

{
  "models": [
    {
      "name": "gemma2:27b",
      ...
    }
  ]
}

✅ JSON形式でモデル一覧が返ってくればトンネル成功!


STEP 5: 自動接続スクリプトの作成

5.1 autossh for Windowsのインストール

autosshは、SSH接続が切れても自動で再接続してくれるツールです。

ダウンロード

  1. https://github.com/Dar13/autossh-windows/releases にアクセス
  2. 最新版の autossh-windows.zip をダウンロード
  3. C:\autossh\ に解凍

5.2 自動接続バッチファイル

C:\ola-ui\ssh_tunnel_auto.bat を作成:

@echo off
title SSH Tunnel to Ola-UI Server

echo ========================================
echo  SSH Tunnel 自動接続
echo ========================================
echo.

:LOOP
echo [%date% %time%] トンネル接続中...

C:\autossh\autossh.exe -M 0 ^
  -i C:\Users\<ユーザー名>\.ssh\id_rsa_ola ^
  -p 10022 ^
  -N ^
  -R 11434:localhost:11434 ^
  -o ServerAliveInterval=30 ^
  -o ServerAliveCountMax=3 ^
  your-server-id@your-server.xsrv.jp

echo [%date% %time%] 接続が切れました。10秒後に再接続...
timeout /t 10 /nobreak > nul
goto LOOP

5.3 Windowsサービス化

NSSM(Non-Sucking Service Manager)を使ってサービス化します。

NSSMのインストール

  1. https://nssm.cc/download にアクセス
  2. ダウンロードして C:\nssm\ に解凍

サービスの登録

管理者権限のコマンドプロンプトで:

cd C:\nssm
nssm.exe install OlaUITunnel "C:\ola-ui\ssh_tunnel_auto.bat"
nssm.exe set OlaUITunnel AppDirectory "C:\ola-ui"
nssm.exe set OlaUITunnel DisplayName "Ola-UI SSH Tunnel"
nssm.exe set OlaUITunnel Description "SSH Tunnel for Ola-UI to Rental Server"
nssm.exe set OlaUITunnel Start SERVICE_AUTO_START

サービスの起動

nssm.exe start OlaUITunnel

✅ これでWindows起動時に自動でトンネルが確立されます!


STEP 6: 動作確認とテスト

6.1 サーバー側での確認

ブラウザで以下にアクセス:

https://ola-ui.com/index_t.html

✅ Ola-UIの画面が表示されればOK

6.2 チャットテスト

チャット画面で質問を入力:

こんにちは!システムの動作テストです。

期待される動作: 1. サーバーのPHPが質問を受信 2. SSHトンネル経由で自宅PCのOllamaに送信 3. Ollamaが応答を生成 4. SSHトンネル経由でサーバーに返送 5. ブラウザに応答が表示

✅ 正常に応答が返ってくれば完全成功!🎉


STEP 7: Cloudflare Tunnel(応用・高度)

7.1 Cloudflare Tunnelとは?

Cloudflare Tunnelは、ポート転送不要で安全にサービスを公開できる仕組みです。

メリット

7.2 Cloudflare Tunnelのセットアップ

ステップ1: Cloudflareアカウント作成

  1. https://www.cloudflare.com/ にアクセス
  2. アカウント登録
  3. ドメインを追加(ola-ui.com)

ステップ2: Cloudflared のインストール

Windows版をダウンロード:

  1. https://developers.cloudflare.com/cloudflare-one/connections/connect-apps/install-and-setup/installation/ にアクセス
  2. Windows版をダウンロード
  3. C:\cloudflared\ に配置

ステップ3: 認証

cd C:\cloudflared
cloudflared.exe tunnel login

ブラウザが開き、Cloudflareにログイン。

ステップ4: トンネル作成

cloudflared.exe tunnel create ola-ui-tunnel

ステップ5: DNS設定

cloudflared.exe tunnel route dns ola-ui-tunnel ola-ui.com

ステップ6: 設定ファイル作成

C:\cloudflared\config.yml:

tunnel: <トンネルID>
credentials-file: C:\cloudflared\<トンネルID>.json

ingress:
  - hostname: ola-ui.com
    service: http://localhost:8000
  - service: http_status:404

ステップ7: トンネル起動

cloudflared.exe tunnel run ola-ui-tunnel

7.3 Cloudflare Tunnelの利点


STEP 8: セキュリティとモニタリング

8.1 サーバー側のアクセス制限

.htaccessでIP制限

public_html/.htaccess:

Order deny,allow
Deny from all
Allow from 203.0.113.0/24
Allow from your-home-ip

8.2 SSH接続の監視

ログの確認

Windows PCで:

ssh -i C:\Users\<ユーザー名>\.ssh\id_rsa_ola -p 10022 your-server-id@your-server.xsrv.jp "tail -f /var/log/auth.log"

8.3 死活監視

UptimeRobotを使った監視:

  1. https://uptimerobot.com/ にアクセス
  2. 「Add New Monitor」
  3. URL: https://ola-ui.com/index_t.html
  4. 監視間隔: 5分

トラブルシューティング

Q1: SSHトンネルが切れる

原因: ネットワークの不安定性

解決策: - autosshを使用(STEP 5.1) - ServerAliveIntervalとServerAliveCountMaxを設定

Q2: Ollamaに接続できない

原因: トンネルが確立されていない

確認:

netstat -an | findstr ":11434"

解決策: 1. 自宅PCでOllamaが起動しているか確認 2. SSHトンネルが接続中か確認 3. サーバー側で curl http://localhost:11434/api/tags を実行

Q3: レスポンスが遅い

原因: 自宅PCのスペック不足、または回線速度

解決策: 1. Gemma 2 27B → Gemma 2 9Bに変更 2. インターネット回線をアップグレード 3. config.iniの top_k を減らす

Q4: サーバーのPHPバージョンが古い

原因: レンタルサーバーの制約

解決策: 1. サーバーパネルでPHPバージョンを変更(8.3推奨) 2. .htaccessで指定: apache AddHandler application/x-httpd-php83 .php


まとめ

本記事で学んだこと

✅ レンタルサーバーの選定と契約
✅ Ola-UIのサーバー配置
✅ SSHキーペアの作成と登録
✅ リバースSSHトンネルの設定
✅ autosshによる自動再接続
✅ Windowsサービス化
✅ Cloudflare Tunnelの活用(応用)
✅ セキュリティ設定とモニタリング

所要時間


シリーズ完結(ネットワーク編)

おめでとうございます!🎉

第6〜8回のネットワーク編が完了しました!

ネットワーク編のまとめ

第6回: ローカルPCからDDNS経由

第7回: HTTPS対応とApache/Caddy

第8回: レンタルサーバー経由(本記事)

あなたに最適な構成は?

構成 推奨シーン コスト 難易度
第6回 個人利用、テスト 無料 ★★☆☆☆
第7回 小規模チーム 無料 ★★★☆☆
第8回 本番環境、業務利用 月1,000円 ★★★★☆

参考リンク


著者: Ola-UI サポートチーム
公開日: 2026年1月29日
カテゴリ: チュートリアル, レンタルサーバー, SSH, リモートアクセス


💬 この記事への質問・コメント

シリーズをご覧いただき、ありがとうございました!

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タグ

#OlaUI #レンタルサーバー #SSH #トンネリング #リモートアクセス #Cloudflare #チュートリアル

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